コラム

新たな変化

2016年11月02日水曜日 はねじ

羽地です。企業研修を担当している中で、これまでにない新たな変化を二つ感じています。

一つは障がいを持った人が研修に多く参加するようになったこと。これは障がいを持った人の雇用がすすんできたことがひとつの要因だと思います。しかしこれまでもたくさんの障がい者が企業で働いていたと思うのですが、私の経験では障がいを持った人と研修で出会うことは少なく、年間百数十日研修を担当していますが1、2名ぐらいです。しかし今年になって新任主任研修といった階層別研修や手上げ式の研修、リーダーシップの公開セミナーに障がいを持った人たちが何人も参加されています。(ただし私の研修では身体障害の方々ばかりでした)

私が思うに、これまであった本人と研修担当者のためらいの壁がここにきていっきに低くなったのではないでしょうか。そして明らかに障がいを持った人が参加した研修は他と比べて一体感や集中力が高まり、研修の質が良くなり、おのずと学習成果が高くなる傾向があることを、研修担当者が気づき始めたように思います。
また、障がいに対する支援や個別対応をすることに研修担当者が労を惜しまないようになりました。たしかに障がい者が研修に参加するためには様々な支援が必要で、他の参加者へも配慮すべきことを伝えなければなりません。労力は増えるでしょう。個別対応も必要となり、コストも余計にかかるかもしれません。しかし私の経験でも、明らかに学習の質と成果は高くなります。この大きなメリットに研修担当者が気づいたのではないかと思います。

二つ目の変化は研修担当者や管理職から、発達障害を持った人のマネジメントや指導育成についての相談が増えたことです。これは発達障害に対する理解がやっと企業でも徐々にですが浸透してきたのではないかと思います。2018年4月から障害者の従業員に占める法定雇用率が上がり、精神障害者の雇用が義務づけられた流れの中で発達障害の人の採用がこのところ増えてきていることも一因でしょう。

管理職研修やリーダーシップ研修の中で現場第一線の管理職から、発達障害を持った部下の特性をどう理解し、その人に合わせたマネジメントをどうすればいいのか?といった質問を受けることが今年になって急に増えたことについては、「やっと来たか」という感じがしています。学校教育現場ではこのテーマはずいぶん前から大きな課題の一つでしたが、企業では議論はおろか、俎上にあがることすらなかったことがこれまで不思議でしょうがなかった。遅まきながらこのテーマを企業の中で真剣に議論する時が来ているように思います。

さて、これらの変化の根底にある事象は、これまでは画一的な規格内の人材ばかりを採用し、枠から外れた人を排除してきた日本の組織の中で、様々な個性、枠から外れた特徴(才能)を持った人がその才能を発揮できる土壌が徐々にですが整ってきた、と僕は見ています。別の見方をすると、天才や特異な才能を持った人が育ちにくかった・芽が摘まれてきた組織の中で、特異な才能を持った人が生き残りその才能を発揮できる可能性がでてきた、とも言えるでしょう。

異能発掘プロジェクトと称して、東京大学先端科学技術研究センターと日本財団が行っている、突出した才能があり学校になじめない子供を集めたプロジェクトの記事を読みました。そのプロジェクトは異端の天才を育てるのが目的ではなく、
「発達障害のような認知や人格の変異は、すばらしい個性であって、治療の対象とするべきではない。彼らが彼ららしく、つぶされずに堂々と生きられる、そんな社会を構築していく」
(東京大学先端科学技術研究センター 中邑賢龍教授) 
それがこのプロジェクトの目的だそうです。

同じ様な流れを、企業研修を通して、日本の組織の中で垣間見る今日この頃であります。