コラム

『エクゼクティブの基本感情』20160215

昨年から、ある企業の本部長、部長クラスの人たちに対して、「ハラスメント研修 ーいきいきとした組織づくり」のテーマで、継続した研修を担当している。

第1回の研修後に部下全員から「あなたの上司は職場で学んだ成果を発揮しているか」のアンケートをとり、「研修の成果がでている」もしくは「成果が見られない」の項目を部下の何パーセントが評価しているかの数値が一人一人に対してだされる。

業績の評価は上司が、マネジメントの評価は部下がする、当たり前といえば当たり前だが、なんともはや、エグゼクティブへの評価はシビアである。

今月はフォロー研修を行い、現場実践を検証し、部下アンケートの数値が芳しくない人たちと個人面談を行った。50分の対話は、時にコーチング的に組織の問題解決をはかり、時にメンタリング的にこれから組織の中でどう生きていくかを話し合い、時にカウンセリング的に悩みや葛藤を聴かせてもらった。

「どうして僕がこの面談に選ばれたのでしょう?」
「正直なところハラスメントなんて言ってたら、仕事できませんよ」
「なんで僕がハラスメントで訴えられないといけないんだ!」
そんな本音を訴える人

部下たちの行くすえを心配するあまり、ついつい大声で怒鳴ってしまう人

ハラスメントだと部下から言われないかが気になり、部下とのかかわりに及び腰になる人

部下を大切に想い、素晴らしいリーダーシップを発揮し、自分の後継者が育ってきていることを何よりも喜んでいる人

28名ひとりひとりの生きざまを正面から見させてもらい、その人に伴走して、その人の世界観をともに歩むとその人の気持ちがよくわかる
「ああ、あなたも辛いのですね、苦しいのですね」
とは決して言わないが、内面の世界を共に経験すると、その人がなぜそのような言動をするのか、そのような気持ちになるのか、よく理解できる
愛もあれば、怒り、孤独もある

その内なる世界の根底にあるのが他者に対する愛なのか、自己愛なのか
それがその人のマネジメントを大きく左右する

怒りや恨みの根底には自己愛があるように思う
自己愛の強い人が影響力の強い役職につき、力を行使すると悲劇がおこる
部下や周囲にとっても悲劇だが、自分自身も満足を得られず、満たされず
飽くことのない自分に対する愛や他者からの評価を求め続け、そこには栄えある終着がない

他者や部下への愛がある人は、たとえ目の前の業績が悪かったり、問題が山積みでも
前に進み続ける
一歩一歩進むことが、部下の幸せにつながることが分かっているから
周囲の人たちもその人の周りに集まり、共に歩み続ける
そうすると必ず山の頂に到着する
もちろん、そこに着くと次の山が見えてくるのだが
そうやって歩み続けることに意味を感じ、
後進に何かを残せることに幸せを感じる

愛と自己愛、怒りや恨み、孤独
私たちの心の底にある基本感情に気づき、それがどのような影響を周囲の人たちに及ぼしているのか
組織のトップこそ見つめ、気づくことが大切だと思う
あまりにもその影響は強く、広範囲だから

自分にも言いきかせる

羽地朝和